中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律案 成立しました
2008年 05月 10日 - 03:44 by 桂 一朗
昨日(平成20年5月9日)参議院で「中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律案」が可決成立しました。めでたしめでたしと言ったところでしょうか。この法律は一定の場合に民法に定められた遺留分制度を制約するという画期的な内容を含んでいます。
「遺留分」(民法1028)とは、手元の「法律学小辞典第3版」(有斐閣)33頁によれば
一定の相続人のために法律上必ず留保されなければならない遺産の一定割合。・・・(引用者略)・・・近親者の相続期待利益を保護し、また、被相続人死亡後の遺族の生活を保障するために、相続財産の一定部分を一定範囲の遺族のために留保させるのが遺留分の制度である。
とのこと。
この遺留分の制度を制約することから、推定相続人(兄弟姉妹を除く)の全員の合意&書面を必要とし、経済産業大臣の確認と家庭裁判所の許可をもって一定の公平の担保としている。
この法律における、遺留分の制約とは、具体的には
- 旧代表者から後継者への贈与等により取得した株式等を、遺留分算定の基礎から除外すること
- 旧代表者から後継者への贈与等により取得した株式等の価額について、遺留分算定の基礎財産に算入する価額を、その一定の相続人の合意時点の価額に固定すること
当然であるが、遺留分の算定基礎から除外するだけで、相続税の課税財産から除外するわけではないし、一定の相続人間の合意時点で価額が固定されるのも、相続税の計算には何ら関係なく、相続開始時点での財産評価となる。あくまで、遺留分の算定のための法律である。相続税に関する法律上の処置は、今後立法される予定のようだ。
2番目の価額の固定に関しては、相続時精算課税制度を思い起こさせる内容です。ただ、相続時精算課税制度で計算される財産の価額は、相続税の財産評価によりますが、遺留分の算定のための価額は、時価なんでしょうね。
ともかく、今年から来年にかけて事業承継の環境が激変する年となりそうです。


