「経営承継法における非上場株式等評価ガイドライン」が出てきました
2009年 02月 09日 - 17:19 by 桂 一朗
中小企業庁より、「経営承継法における非上場株式等評価ガイドライン」が出てきました。
これは、「中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律(経営承継法)」において、遺留分計算のための価額を、事前に合意できるとされた法律なのですが(固定合意)、この固定合意における価額は税理士等がその「相当な価額」を証明する必要があるのです。しかしながら、非上場株式の評価方法が確立していないために証明すること自体が難しいと考えられていました。そこで、今回発表されたガイドラインがとりまとめられました。相当おおざっぱな説明ですが、ご容赦を(汗
私としては、相続税、贈与税で用いられる財産評価の価額と、今回の「固定合意」における価額との間で差額が出てきてしまう場合、どのような考え方をすればよいのかという点について、注目していました。
「経営承継法における非上場株式株式等評価ガイドライン」の27ページから28ページに、税務との間の取り扱いについて言及されています。前半部分をまとめると以下のようになります。
- 国税庁方式(財産評価通達)と合意時価額(固定合意時点の価額)との間での乖離は当然である
- 合意時価額が贈与税の価額を上回った場合には、問題はない
- 合意時価額が贈与時点の価額を下回った場合には、いずれが相続税法上の「時価」として妥当であるか等を見極めて納税申告する
- なお書きで、合意時価額を決めるに当たって、後継者と非後継者との間で、国税庁方式とそれ以外の評価方法とで、情報の共有があれば、国税庁方式で問題ない
つまり、実務的には、このガイドラインに掲載されているあらゆる評価方法に基づき計算した結果、それらの内容を後継者と非後継者とに開示説明し、その上で国税庁方式を採用するのが、一番無難な選択となりそうです・・・税理士的な発想ですねw。もちろん、その国税庁方式で合意が得られればの話ですが。