その他利益剰余金の資本組入れしても、みなし配当課税は無しです
2009年 04月 20日 - 03:20 by 桂 一朗
この平成21年4月1日以後から会社計算規則が改正・施行となり、その他利益剰余金の資本組入れ(利益の資本組入れ)が可能となった。商法から会社法が独立して以後、できないことになっていたのだが、今年度から可能となりました。
この、その他利益剰余金の資本組入れができなかった点については、このブログの「株式会社法 第2版(有斐閣)における"資本金への組入れ"の記載」で話題にしたことがあったのだが、今年度から会社法施行規則」及び「会社計算規則」の一部改正が施行され可能となった模様、特に会社計算規則はこの規定以外にも多くの条文が削除されるなどして大幅な改正が行われました。
一応、資本組入れに関する該当条文を新旧引用しておく。
| 新(平成21年4月1日以降) | 旧 | ||
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(資本金の額) 第二五条 |
株式会社の資本金の額は、第一款及び第四節に定めるところのほか、次の各号に掲げる場合に限り、当該各号に定める額が増加するものとする。 一 法第四百四十八条の規定により準備金の額を減少する場合(同条第一項第二号に掲げる事項を定めた場合に限る。) 同号の資本金とする額に相当する額 二 法第四百五十条の規定により剰余金の額を減少する場合 同条第一項第一号の減少する剰余金の額に相当する額 |
(資本金の額) 第四十八条 |
株式会社の資本金の額は、第一款及び第四節に定めるところのほか、次の各号に掲げる場合に限り、当該各号に定める額が増加するものとする。 一 法第四百四十八条の規定により準備金(資本準備金に限る。)の額を減少する場合(同条第一項第二号 に掲げる事項を定めた場合に限る。)同号 の資本金とする額に相当する額 二 法第四百五十条の規定により剰余金の額を減少する場合 同条第一項第一号の減少する剰余金の額(その他資本剰余金に係る額に限る。)に相当する額 |
括弧書きがあるかないかの違いといっても良いが、旧条文では、括弧書きがあるため、資本金を増加させるためには、"資本準備金かその他資本剰余金"でなければならなかった。しかし、括弧書きが消えたために、"利益準備金やその他利益剰余金"でも資本金とすることができるようになりました。
さて、その他利益剰余金の資本組入れが可能となったならば、みなし配当課税が行われるのだろうかと気になってくる。しかし、所得税法第25条には、金銭その他の資産の交付がない場合には、みなし配当課税は行わないとされています。
(配当等とみなす金額)
所得税法第25条 法人(法人税法第二条第六号 (定義)に規定する公益法人等及び人格のない社団等を除く。以下この項において同じ。)の株主等が当該法人の次に掲げる事由により金銭その他の資産の交付を受けた場合において、その金銭の額及び金銭以外の資産の価額の合計額が当該法人の同条第十六号 に規定する資本金等の額又は同条第十七号の二 に規定する連結個別資本金等の額のうちその交付の基因となつた当該法人の株式又は出資に対応する部分の金額を超えるときは、この法律の規定の適用については、その超える部分の金額に係る金銭その他の資産は、前条第一項に規定する剰余金の配当、利益の配当又は剰余金の分配とみなす。
以下省略
理屈から言えば、その他利益剰余金を資本金としたならば、株主が一度配当金を受け取り、同時に資本金として払い込む、という一連の取引があったものと考えても不思議はない。かつては、このような取引は、配当所得となると考えていた。平成12年度までじゃなかったかな・・・。しかし平成13年に、このみなし配当の考え方が変わり現在のようになりました。
文章が長くなったので、みなし配当課税については、手抜き解説でしたw



突然おじゃまします。
資本金から資本剰余金の振り替えは制限があるのでしょうか。
昨日未上場四季報である会社の資本金、株主構成に興味を持ちました。
その会社は政府系の投資会社が20年前に出資していて、現在売上高は100億円を超えていて堅調に推移しています。
ところが資本金が1億円で株主数が50名ぐらいいます。私のつたない知識では以前この会社、株式公開を目指していたなと感じがします。50名以上になると株式を数段階に与えますから、その時の時価(国税庁方式)で決定しますから、1億円という丸い数字にはならないと思います。
つまり
資本金10億
資本剰余金10億
が
資本金1億
資本剰余金19億
とした。
もし可能であればどうしてこういうことをするのでしょうか。
カルクワ様、こんにちは。
桂一朗です。
>資本金から資本剰余金の振り替えは制限があるのでしょうか。
とのご質問ですが、株主総会の特別決議があれば「資本金 零」にだってできる、と理解しています。
ご質問の会社が以前資本金10億円で、現在資本金1億円ならば、上述した株主総会の手続により、資本金の減少の手続を行ったのではないでしょうか。
また資本金の額は、上記株主総会手続の中で資本金とする額を1億円となるようにする(実際には減少する額を定める)ので、きりのいい数字になっていても不思議には感じません。
>もし可能であればどうしてこういうことをするのでしょうか。
というご質問ですが、配当可能利益を増やすため、とか、従来の株主の持株比率を減らすため、とか、・・・ん~っと。これぐらいしか思いつきませんでした(汗
桂先生 ありがとうございます。おかげで理解できました。今後ともよろしくお願いします。