住宅取得資金の贈与
2006年 08月 17日 - 03:00 by 桂 一朗
贈与税に関してしばしば質問があるのでここに記しておきます。
住宅取得資金の贈与特例は、平成18年、下記の改正がありました。(国税庁「平成18年贈与税改正のあらまし」PDFです)
- 暦年課税方式(5分5乗方式)の廃止
- 相続時精算課税制度の住宅取得等資金の特例は2年延長
1.暦年課税方式(5分5乗方式)はよく利用されていた制度だったんですが、平成18年から廃止されてしまいました。
いわゆる550万円までは贈与税がかからず、1500万円までは租税負担が軽減されるという制度でした。
この制度がまだ今年も使えるのではないかと勘違いされている方がいらっしゃいますので注意してください。
2.相続時精算課税制度の住宅取得等資金の特例は、相続時精算課税制度の限度額2500万円に、住宅分として1000万円上乗せができますよ、つまり3500万円まで ok という制度です。
ただ、相続時精算課税制度は、贈与時点で相続財産の評価額が決まってしまうために、例えば2000万円贈与を受けて住宅を取得すると、相続が起きたときにも2000万円と評価されてしまうのです。
普通、住宅の場合、家屋の評価は年々低下してゆくので、相続時点では、もっと評価額が低いはず(上の例では2000万円より小さい金額であるはず)。つまり、相続税の関係ない方の場合は利用してもよいのですが、相続税を支払う可能性のある方の場合は利用するのはやめておいた方がよいのではないか...という制度なのです。
もちろん、贈与を受けて住宅を購入すれば名義は購入者のものとなり、贈与を受けずに購入しようとすれば、親の名義がその住宅に入ってしまうことになります。その親の名義分を相続するという話です。
非常におおざっぱな説明になってしまいましたが、ともかく、相続税かかかりそうな方で、相続時精算課税制度を利用しようとする方は、税理士の意見を聞いた方が無難ですよ、という話です。